滋賀・延暦寺④
前回に続いて最澄についてです。
最澄は空海に比べると少し影が薄いですよね。空海にまつわる逸話はよく聞きます。
どこどこで池をつくった、この寺院をつくったのは空海だ、空海がここで修行したなど。高野山は比叡山のようなものですが、四国八十八箇所めぐりなども空海を意識される方は多いでしょう。
そこで、空海との対比として最澄を知ることができる書籍を紹介しましょう。
小学館から出ている「最澄と空海」(梅原猛)は入門書として読みやすいかと思います。
最澄と空海―日本人の心のふるさと (小学館文庫) | 梅原 猛 | 本 | Amazon.co.jp
いくつかの論文をまとめたようなテイストなので、重複する箇所もあるのですが、覚えやすいと思います。重ねて出てくるので。
最澄と空海が偶然にも、同じ遣唐使団として唐に入っているんですよね。しかし、最澄は国費で、空海は私費なんです。そんなことが読みやすくまとめられています。
最澄は目立たないんですけど、いまにも通じるはっきりと打ち出された教育論をもとに、比叡山に修業の場を形成したことが著しく評価されてもよい点でしょう。
さらに、比叡山に戒壇院設置を朝廷に認めさせたことでも国内仏教に変革を与えたことなど、宗教家として大仕事をやりとげています。
そのあたりのことなど、空海と対比していっきょにわかりやすい文体で読めるので、この書物を推したいです。
次回は、滋賀・延暦寺を離れ、別な寺社を紹介できたらと思います。