奈良・興福寺③
①、②に引き続いて興福寺の紹介をさせていただきます。
前回で予告していた通り、国宝に指定されている「阿修羅像」についてです。
仏像の紹介本や資料なんかでもクローズアップされることが多いものなので、知っている人も多いのではないでしょうか。
阿修羅像の紹介の前に、
「八部衆」について書いていきます。
阿修羅はこの八部衆のひとつで、「法華経」に記述が出てきます。
「天」、「龍」、「夜叉」、「乾闥婆」、「阿修羅」、「迦楼羅」、「緊那羅」、「摩睺羅伽」の八つがあげられます。
興福寺では、「五部浄」、「沙羯羅」、「鳩槃荼」、「乾闥婆」、「阿修羅」、 「迦楼羅」、「緊那羅」、「畢婆迦羅」です。
奈良時代の作で、乾漆造です。背丈は大体150センチ程度。もともとは西金堂に安置されていたことがわかっています。
仏教ではよくあることですが、古代インドで信仰されてきた八つの神を八部衆として、仏教を仏敵から守るための役割が与えられています。
阿弥陀如来や釈迦如来と違って異形で表される仏像のため、異形の仏像愛好家からも人気があります。
いよいよ、阿修羅像ですが、
名前の由来は、古代インド語である梵語のアスラ(Asura)からきています。
「生命(asu)を与える(ra)者」、もしくは、「非(a)天(sura)」とも解釈されています。ペルシャでは大地に恵みを与える太陽神として信仰されてきましたが、インドでは大地を干上がらせる太陽神として、常に仏教では帝釈天であるインドラと戦う悪の戦闘の神となります。仏教のもとでは、釈迦を守る神と説かれるようになります。
像の作風は、三つの顔がある三面、六本の腕がある六臂。上半身は裸身で条帛と天衣を身につけ、胸や腕に飾りをつけ、裳をまとい、板金剛を履いています。
少年のような優しい顔立ちにはひきつけられるものがあります。眉を寄せ、怒りや悲しみをあらわすような表情も特徴的です。
今はもう故人となった女優の夏目雅子さんに似ているともいわれますね。
興福寺の作例とは異なる作例もあります。
ひとつは、鎧を身にまとい、右手に宝剣または宝棒を持ち、両脇侍を従える三尊像です。
ひとつは、上半身が裸身で、両脇侍の頭部を左右に配置して三面。手は四腎です。
そしてひとつは、興福寺のものです。
次回は、興福寺のその他の見所について伝えられたらと思います。